歩き疲れて、あるいはドライブの途中などにカフェなどでひと息つこうと立ち寄り、さて何を飲もうかと考えるとき、こう考える人もいるのではないだろうか。夏は冷たい飲みもの、冬は温かい飲みものに決まってるではないか、と。
ほんの少し前の私はそうだった。気温が高いときは冷たいもの、逆に気温が低いときは温かいものを注文するのが当たり前だと。
しかし、世界は決してそんな単純なものではなかったのである。ここに我々は気温以外の条件を一つ付け加える必要がある。
それが室温である。
時期的に現在は冬であるので、気温は確かに低い。外を歩いてると、身も心も凍えそうになり、何か温かいものを欲してしまうのが当然の成り行きであろう。
しかしいざ席について温かいものを飲もうとしたその時、「しまった、これではなかった…!」と後悔の念に襲われてしまうことが、私はたびたびあった。
逆に、夏場に炎天下を歩いてやれやれと冷たいものを飲み始めた瞬間、冷房の寒さと飲み物の冷たさのダブルパンチをくらって、早々に店を退散する羽目にあったことも数知れずあった。
それは店内の冷暖房の効き具合によってもたらされる、冬なのに(だからこそ?)室内は暑い、あるいは夏なのに寒いというパラドキシカルな状態が生まれているからである。
そこを勘案せず、脊髄反射的に冬は温かいもの、夏は冷たいものを注文するから前述のような悲劇に見舞われるのだ。
気温ではなく、室温を気にする。そして自身の体に問いかけ、一体私はどちらの温度の液体を体内に流し込みたいのかを考える。それが快適なカフェライフを送るためのコツと言えよう。